

それ以前、ビール業界で⻑年働きながら、
数多くの良いお酒と出会ってきた。
新しいスタイルを⽣み出し、さまざまな材料を扱い、
多様な⽂化に触れることは、確かに楽しかった。
しかし、その⼀⽅で、⼼のどこかに⼩さな渇きが残っていた。

「私たちの地域で育った素材で、
私たちらしいお酒を醸すことはできないだろうか。」
その問いは、⾃然と韓国のお酒へとつながっていった。
⽶と⽔、麹をベースに地域の素材を取り⼊れ、
今の私たちの感性で新たに解釈したお酒。
伝統をそのまま再現するのではなく、今の⾷卓や⽇常に
⾃然と馴染む韓国のお酒を造りたいと思った。
さらに私たちは、もう⼀つの問いを投げかけた。

「私たちはどのような体験をつくりたいのか。」
お酒は結局、⼀⼝飲み込んで初めて、体験になる。
どんなに良いお酒でも、実際に飲んでみるまではわからない。
だからこそ、私たちが作りたかったのは、⼀本のお酒だけではなかった。
⾃ら醸したお酒と私たちらしい空間。好きな⾳楽と映画。
季節の素材と料理。初めて出会った⼈とも⾃然と
⾔葉を交わせる雰囲気。お酒を中⼼に⼈々が
集い、つながる体験だった。

そのような想いから、「クルコックハウス」という名前が⽣まれた。
私たちが作りたかったのは、単なる醸造所ではなく、
お酒と料理、⼈と物語が⾃然に
つながる⼀つの家だった。
Eどの醸造所でも、思いは同じだろう。
良いお酒を醸すことは基本である。
しかし、私たちが⻑く作り続けたいのは、
お酒をめぐる時間と体験である。

2022年、広安⾥で始まった⼩さな醸造所は、
今⽇も同じ問いを胸に、お酒を醸す。
私たちは、どんなお酒を醸すのか。
そして、どんな体験を⼈々に届けるのか。
クルコックハウスの物語は、今も、その問いとともに続いている。

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